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今下っている坂には、沿って線路があり(JR大和路線)、
それに沿って国道182号線、またそれに沿って大和川が流れていて、
その向こう岸の河川敷は広場になっている。
坂にコンビニが出来るまではよく仲間とたむろしていた場所だ。
そこにある木製のベンチ。画像を見た時、全員がすぐにわかっただろう。
そこへ行くには、この坂を下り高井田駅の踏切を横断、182号線に入れば少し先にある国豊大橋を左折し、渡る。
そして向こう岸の川沿いにある階段を下りる。
マーバンが坂を下りきり、高井田駅を左折した所で踏切の警報器が
鳴り始めた。
踏切まで30mぐらいだろうか。ここで鳴っていたら
必ず誰しも止まるだろう。
だが英一からはブレーキを踏む気配すら感じられない。
むしろ車はさっきよりも加速し始めた。
「嘘やろー!!」
運転席の後部座席のケーが前のめりにヘッドレストを掴んだ。
ゆっくり降りて来る手前の遮断桿を通過し、次のそれを見ると
車が通れる余裕があるのか、ないのか・・・。
「いったれえぇえぇえー!!!」
俺は自分がアクセルを踏んで加速させたい気持ちで体が硬くなる。
「よいしょおぉぉぉぉーーー!!」
「ダラァッシャァアアーーー!!」
英一とまっくんが同時に叫んだ。
「当たる!当たる!!」
ケーがリアガラスから上を覗き込んで叫ぶ。
「当たるかーい!!マーバンやぞ!!」
ヴォーーンとアクセルを踏み、さらに英一は加速させた。
「車種かんけいあらへんねんーー!!ウォー―!ギッリギリ!!」
周りに比べると異様なくらいにスピード出ている車はそのまま
183号線を走り、国豊大橋に入った。
ここから河川敷広場を見渡せる。
助手席側の濡れた窓から点の模様が描かれている川が広がり、
その先の河川敷から木製のベンチを探した。
「大垣おるぞ!倒れてる!」
後部座席の俺もまっくんが叫んだと同時に、大垣の姿を見つけた。
隣に座っていたケーも俺の方の窓から河川敷をずっと見ていて、
大垣を見つけたのだろうか、言葉を失っていた。
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