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「大垣だけ?」
運転であまり状況を見れない英一が聞いてきた。
「他は誰もおらんな」
広場を見つめながらまっくんが答える。
「もうお帰りか」
俺は遠くで倒れている大垣を見ながら、JR軍団との抗争で1度交えた
拳を思い出していた。
キュルルキキィィー!!
英一が国豊大橋を走る猛スピードに急ブレーキをかけながら左折をし、
川沿いの道路に停車させた。
トンットンットトンッ
4人が一斉にドアを開け、
ジャッ、ザッ
と降りる足音の続きの様に
ドンッドンッとドアが閉まる。
「大垣!」
まっくんがカッコつけて一人で行って負けた事が嬉しそうに叫んだ。
その声が河川敷の地面を濡らす雨の音を一瞬かき消した。
「お前、一人で何しとんねん!」
英一も嬉しそうだ。
二人はそう叫びながら濡れた階段を下り、大垣の方へ走っていく。
俺とケーは何も言わず土手を下りた。
俺は大垣に近づいてから、何か言ってやろうと思っていた。
ギュチャ、ギュチャ、チャク・・・。
雨で湿った土と濡れた小石を踏むたびに音が鳴る。
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