寝屋川軍の侵撃

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しかし、大垣を目の前にして4人共、黙ってしまった。 ひどい。画像で見た時はこんなにひどくなかった。画像を撮影されてから もう一度立ち、相手に向かったのか。大垣の事だから多分そうだろう。 俺とやった時もそうだった。流石、松原市トップ中学No,2。 何度も立ち上がり向かってきた。 根性の塊の様な奴だ。 それにしてもここまでやるか。限度がある。雨で血が流れていてもいい筈なのに何処から出ているか解らないぐらい血だらけだ。 体は小刻みに痙攣をし目は少し開いた状態で、少し左右に眼球が動き、 眼だけが俺らに反応している様で、悲しい気持ちになった。 「もしもし、救急車の人?すぐ来てーや。国分の河川敷にありますやん、 広場、・・・そんなんどうでもええからはよ来いやボケェ!!」 「ヴァアアラア!!」   英一がスマホで救急車を呼んでいたが、怒りを抑える事が出来なくなったんだろう。怒鳴りながら木製のベンチへ蹴りを放った。 降っている雨が足の風で揺れ、つま先からベンチへ入っていく。 ガグゥアシャァアアアア!! まるで建物を解体する時に使う機械の様な大きな音を立てて、 ベンチが木の廃棄物に変わり果てた。   「ケー、Twittener。戸塚なんか呟いとんか?」 まっくんが怒りを抑えて震えた声をしている。   「いや、まだなんも」   「しんや、まさかこれでもやらん言わんやろな?戸塚潰すやろ?」 英一が俺を睨みつけている。   「・・・・・・・・・」 俺は、自分に入って来る久しぶりの感覚に戸惑っていた。 神経の隅々にまで怒りが届いていく。 「矢崎!!」 ケーが怒鳴った。 「・・・・・・・・・戸塚っちゅうか、寝屋川市潰すやろ」 俺の声は自分でも驚くくらいに低く、そして怒りで震えていた。 大垣がやられた。俺が喧嘩をする理由が出来た。 「・・・・・・・始まってもうたなぁー」 さっきまで黙ったまま俺の答えを待っていたまっくんが静かに言い、 「どうする?今日は大垣に付いとくか?寝屋川何処行ったか分からんし」と 大垣を見ていた。 「俺は車でこの辺周ってみるわ、しんや、行こうや」 英一は首を車の方へ振り、合図をする。 目は完全に喧嘩モードで、ヤンキーを見つけたら今回の件に無関係でも 殴り回してしまいそうだ。   「オオ・・・・・」 英一に続いて車へ向かおうと歩き始めた時、俺のスマホが鳴った。   ティントン♪ティントン♪   今、電話なんてどうでもよかったのだが、土手を上がりながら何気にポケットから取り出し、相手が誰か確認した。      ―着信 大垣進―  俺はとっさに振りかえり、倒れている大垣を見た。 意味が解る速さに、増幅する怒りが纏わりついてくる。 俺はその怒りを抑えながら通話をタップした。
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