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そういえば、ケーは俺の事を名字で呼ぶ。
俺の名前は矢崎信也だが、名字で呼ぶのは
仲間の中でケーだけだ。他からは、しんやとかしんちゃんと呼ばれている。
髪はけーの言うとおり長く、肩にかかるくらい。
染める事には全く興味がなく、綺麗な黒色だ。
「いや、もう10月やで、普通汗かかんやろ?」
「その普通がわからんわ。ほら、コイツ見てみ、汗だくや」
ケーは自分のクラスから出てきた、高山守という生徒を指した。
とにかくでかい。
思いっきり走って力士に体当たりすれば勝てそうな奴だ。
あだ名は「ブタニクン」。
これは的確に高山の風格を入れ込んでいる。
誰が最初に呼んだのかは知らないが、誉めてやりたい。
「はぁ、はぁ」
ブタニクンの息が切れている。さっき運動場を走ってきたかのようだ。
そして歩く度に大粒の汗が落ちていく。
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