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舌を出し、笑みを浮かべているが目だけは誰かを睨み付けている。
その目は知らない間に俺の右の拳を握り締めさせた。
「こいつ幾つ?」
俺が尋ねると、ケーは目の前に出しているスマホをポケットにしまった。
「プロフィールでは18歳ってなってる。
俺らのタメや。もしかしてやる気出てもうた?」
「こいつは怪我全くしてへんな。マジでタイマンか?」
「確かめてみる?」
「・・・・あほかっ。俺言うてるやん、もう喧嘩せぇへんて。高3の夏休みから喧嘩は止めやって決めっとったんや」
そう。自分の中で決めていた。
喧嘩を止めた理由は・・・別に無い。今思えば喧嘩をする理由も無い。
俺の喧嘩はやられたらやり返すというスタイル。
すべての市を制覇し、大阪の頂点に立つ。
それぞれの市のトップはこれを目指しているが、俺はそんな事はどうでもよかった。
自分に喧嘩を売ってくる奴とやる、身内がやられるとやり返す。
それを繰り返していたら名が上がってきた。
「そんなん言いながら、Twittenerの
アプリのやり方とか聞いてこやんといてな」
「聞かんわ!」
俺は再び歩き始め、正門をくぐった。背中を吹き抜けた強い風が入学式の時の風と似ていて、原口が叫ぶ怒鳴り声が一瞬甦った。
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