プロローグ

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プロローグ

バキャッ、ゴスッ! ザシャッ! 「ああああらぁあ!」 ボカァッ!ガスッ!! ゴッ!! いつもは静かな河川敷。 風が流れ、雑草を揺らし、虫達が歌う。 今日はそれとは逆の世界。 殺気に満ちた声が拡がり、地が赤く濁っていく。 「なんじゃそれぇええああああああ!???」 「もっとこいやあぁあああああ!!!」 「殺すぞこらあああ!!!」 罵声と地を踏む音が響く。 男達の横を流れる川は何も無いかの様に 時間の流れを水の音と共に刻んでゆく。 ドスッ!ギャキッ!バズッ!!! 殴る拳と殴られる体。そして力尽きた体。 今ここにはそれだけが存在している。 「ハハハッ何じゃお前!?そんなんかぁ!?あああああ!?」 叫ぶ言葉に乗って血が飛び散る。 「殺したらあぁああああ!!」 怒りの感情が溢れ、声の流れに拳を乗せる。 ガコッ! 血の飛沫が自分の拳を濡らす。その拳はまた次の別の血を求める。 「川沈めたろかぁあ!カス!!コラぁああ!!」 ゴっ!! 「ハァ、ハァ、ハァ」 俺は殴り合う男達から離れ、土手の方で息を切らし、それをただ眺めていた。 バグッ!ドッ!ガッ!!ザシャ! 「うあああああららぁぁ!!」 ガゴッ!!! ザシャ! 「ハァ、ハァ、ハァ・・・・・・」 俺は思った。  何でこんな事してるんやったかな?冷静に考えると何なんや、これ。 拳だけの戦争があったとしたらこんな感じなんやろうな・・・・ バギッ、ゴッ!! 「死んでまええええぇぇぇぇ!!!!こらぁあああああ!!!」 ドッ!!!! 「ゴフッ」 ザッ! 「がらあああああ!!!」 バキッ!!ドグッ!!! 「・・・・早よ出てこいや」 俺は未だ出てこないNO,1に苛立ち、呟いた。
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