ボーン公園

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 なんだろうと続いた僕は目を疑った。  おっさんたちが、虫あみを振り回し生垣をかき分け、本気の昆虫採集に勤しんでいるのだ。 「はい、ちょっと通りますよ~」  メガネの男性が僕の脇をすり抜け、公衆トイレの壁面に置かれた虫かごと虫あみのセットを2つ手に取って戻ってきた。  僕に「これどうぞ」とワンセットを差し出し「ボーン公園は初めてですか?」と笑う。  この日焼けした業務用スマイルと押し付けがましい親切は営業関係だな、と瞬時に考えながら「はあ」と流れで受け取る。 「初心者ならこれも見たほうがいいですよ。僕は頭に入ってるんで」と、人差し指で軽くこめかみを差しながら、よれよれの小さな本まで押し付けてきた。  面倒くさい人に話しかけられたもんだと思いながら「どうも」とそれも受け取る。
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