日常パトロール

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日常パトロール

 部長ともなると、一室ずつ部屋が与えられている。  田戸倉部長は与えられた部屋に引きこもり、毎日存分(ぞんぶん)に自分の知識と技術を駆使(くし)して、宮木の名字を持つ兄弟を隠密(おんみつ)に見守り続けていた。  彼の机の上には、3台のディスプレイが並んでいる。  そのディスプレイの先には録画用機器が取り付けられており、24時間体制で録画し続けていた。  ” 一瞬、一秒たりとも素敵な瞬間を逃さない ” というモットーを実践(じっせん)するための措置(そち)だ。  現在、長男の架名(かな)は正月の邸外(ていがい)公務(こうむ)で第一王女の未沙(みさ)(かば)って銃弾に倒れた為、入院中。先日一般病棟に移り、現在は睡眠薬を盛られて無防備な寝顔を(さら)していた。  そして三男の(あや)は、未沙がバレンタインに向けてチョコレート菓子を作ると言うので、厨房(ちゅうぼう)でその手伝いをしている。  そんな中、次男のりなはと言えば、今日も今日とて王室で、国家予算を動かす仕事に従事(じゅうじ)していた。 「くうぅっ!!  今日もお三方とも、変わりなく輝いてるぜっっ」  細かく刻んだ板チョコをボールに入れ、湯煎(ゆせん)で溶かしながらシャコシャコとかき混ぜる。 「未沙(みさ)姫は、今年はトリュフを(おく)られるのか。ふむふむ」  右端の画面では、綾が未沙に教えながら、チョコレートをテンパリングしていた。  そして真ん中の画面では、何やらりなが悩み込んでいる。
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