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その風を
朝、起きると、シィンとヘインは起きていて、挨拶を交わした。
部屋に戻って着替えると、ちらりと夫妻の寝室に目をやって、ジュールズは、いつか仲間に入る…必ず!と呟く。
鍛練をしようと、裸地となっている庭に出ると、ミナがいて、軽く驚く。
「おう、早いな」
「ジュールズ、おはよう」
デュッカが放してくれたのかと、うっかり言いそうになって、口を閉じる。
たぶん、まだ?そういう言い方は、しない方がいい。
しゃがんでいたミナは立ち上がって、まだ暗い空を見上げた。
「なんか、ずっと走ってた感じだけど、やっと休めそうだ」
「おう、無理はすんなよ」
「ん。ジュールズも、今日は、休もうねえ」
そう言って、大きく息を吸った。
「したいことがあるから。遣り抜くために。今は、息をつく」
吹く風が、ミナの香りを薄く運んだ。
「ああ、今は」
薄く笑い、それから目を上げて、ジュールズはその風を見る。
「歩き出すためにな」
不敵な笑みが、楽しげな笑声に変わり、風に乗った。
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