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狐野宗平は本当に化け物だった。あの人間離れしたヤツの能力もこれで説明がつく。人間じゃなかったのだから当たり前だ……!
その出来事以来、俺は見えるようになってしまったらしい。それから俺は何度か化け物同士のいさかいに遭遇した。そしてそこで狐野の姿を目撃する。狐野の威圧感はすごかった。見た目がとんでもないやつもいかにもズル賢そうなやつも、どんな化け物も狐野の姿を見ると退散した。どんだけ恐れられているんだ。あれはヤバイ。
向こうも俺のことに気づいたらして、ある時学校で「色々うるさいから黙ってて」と言われた。
あれだけヤバイのだ。約束を破ったらどうなるかわかったものじゃない。俺は人に言いたいのを我慢してしゃべらなかった。しゃべらないまま、時間が過ぎた。狐野のスーパー中学生ぶりは変わる様子がない。
「さすが狐野君だよね」
「やっぱすげえわ」
「狐野が言うならそうする」
クラスメイトも部活の奴らも、彼への信頼も好感度も全く変わることがなかった。
俺は面白くなかった。奴はマジで化け物だ。俺が黙っているから今は正体がバレずにすんでいるのに。なのに、人間じゃない奴がこんなに人の輪の中心にいていいのか??
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