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課長
「――あッ…ぁ…――イッ、イク――ッ!」
中にいる男の其れを締め上げながら、白濁を吐き出した。同時に、彼もゴム越しにぼくの中に欲を吐き出した。
ズルリと中から男のそれが抜けていった。
目を瞑り、余韻に浸る。
少しでも長く、この心地よさを味わっていたい。
「――花村、大丈夫か? ちょい、激しくしすぎた」
男は寛げていたスラックスの前を直しながら、そう言った。
ベルトの金具が擦れる音が響いている。ぼくは、この音が嫌いではない。
「いいよ……。先、戻ってて」
「了解」
男が先に会議室を出て行った。
会議机に上体を預けてボーッと惚けながら、心が安らいでいるのを感じていた。
情事の後はいつもこうだ。不安定な精神が、少しの間は安定する。
暫く経ってから漸く上体を起こしたぼくは、後処理をしてから乱れた衣服を直した。
会議室の床の上に、手の中から少し白濁が零れてしまっていた。それをティッシュで拭き取ってから、会議室を出た。
廊下の照明の明るさが、少し抑えられている。普段は明るく照らされているが、終業時刻を過ぎるとこうなるのだ。つまりは今現在は終業時刻を過ぎていて、残業という扱いだ。
とはいえ、残業を抜け出して同僚とセックスをしていたのだが。
こうしてこそこそと息抜きできるのは、社員数の多い大企業である職場の利点だと思う。
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