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チャトラは嗤う
鎖に繋がれた茶縞の猫に翡翠のあめ玉をひとつぶあげた
猫は目が見えなかったので、口に含んだものは何も分からなかったようだ
さなぎの中に潜り込み、この体はドロドロと溶けていく
さなぎは象に踏まれ、中身が外に垂れていく
中身は〈だまり〉となってリコリスの朱の華を咲かす
リコリスを食いちぎった蝶は胃の花の重さのために飛べず地を這いずりまわる
ああ、世界の割れ目から奈落へと落ちていく
それを受け止めた隻眼の少年が胃の中のリコリスを取り出し蝶は宙に舞う
少年はリコリスを塗りたくり、笑いながら陽の当たる友人たちのもとへ行く
或る小説家がこんな夢を見たそうな
そして、Veronalを飲んで眠ったそうな
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