俺は『バケモノ』でよかった

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 モンスターの死体、死体、死体……。  全て斬り捨てられ、或いは叩き潰されている。  とても人間業とは思えない。  だが、これは全て一人の男によって行われた。  本来なら村人はその男に感謝し、場合によっては宴が催されるだろう。  しかし。  人々は遠巻きにその男を眺め、そして恐怖に身を震わせていた。  何故?  理由は単純だ。  モンスターを全滅させた二刀流の剣士、その異形故だ。  ぎょろりとした橙の瞳に二本の角。肌は鱗で覆われており、腰からは爬虫類を思わせる尾が生えていた。  竜人(りゅうじん)。  男は生まれた時から異形だった。  父が竜という訳でも、母が竜という訳でもない。  人間の父と母の間から生まれた筈の男は、モンスターとなんら変わらぬ『バケモノ』だった。  生まれてすぐ両親に捨てられたが、死ぬことは出来ず、今日まで生き続けていた。
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