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黒い服の大人たち
不思議な光景だった。
日が沈み、辺りが赤黒い夕日に照らされたころ、黒い服を着た大人が数人、彼女の家から四角くて長い箱を持ち出すところだった。
「う、うう。せつこ、バカ……」
女の人が、低い声で泣ていた。
「おばさん、せっちゃんの知り合い?」
恥ずかしいことに、私は、お葬式を知らなかったのだ。
「あら、あなたは。せつこのお友達?」
「うん。一昨日、一緒にピクニックに行ったよ」
「じゃあ、あなたが信君なのね。せつこは、亡くなったのよ。電車にひかれて」
「えっ!」
二度目の、大きな衝撃だった。
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