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夕方はさびしい。だってなっちゃんがおうちに帰る時間だから。いつもはバイバイって言って終わりだけど、今日はちょっとだけ違った。公園になっちゃんのママが顔を出したんた。
こら!ってなっちゃんのママが言った。
びくん。
わたしはびっくりして、近くのベンチの下に逃げ込んだ。なっちゃんのママは、とっても怒ってた。
「登校日をサボったなんて、どういうこと?! 学校に来ていないって会社に電話がかかってきて、ママは本当に心配したのよ! それにその隣の汚いのはなんなの。野良犬や野良猫はビョーキやバイ菌を持ってるかもしれないのに、触っちゃダメでしょう! 噛まれたらどうするの!」
「ごめんなさい。ママ、ごめんなさい。もうしないから怒らないで」
わたしはなっちゃんのママも大好き。なっちゃんのママは、わたしのことを臭くて汚いって言うけれど、平気だよ。ずっと昔はなっちゃんみたいに撫でてくれたのをわたしは覚えてる。いい子、いい子って、抱っこしてくれたし、おいしいご飯もくれたよね。いっぱい遊んだ大事なお友達。
でもなっちゃんの泣き声が聞こえるの。ああ、どうしよう。なっちゃんが泣いている。わたしのせいで、なっちゃんが泣いている。何だかわたしはむずむずして、どうしていいかわからなくなった。だって、なっちゃんが泣いているのに。でも、なっちゃんのママだって大事なひとなのに!
どうしよう。どうしよう。どうしたら良いんだろう。わたしはおばかさんだから、難しいことはよくわからない。できることはひとつだけ。得意なことはひとつだけ。
だからわたしは、ぱくんと食べてみた。
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