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「ゆきちゃん、あーそーぼ」  木陰のベンチでうとうとしていたら、お友達のなっちゃんが走ってきた。夏休みっていいな。大好きなお友達と朝からこうやって遊べるんだもん。 「はい、ごはんだよ」  なっちゃんはそう言うと、わたしに食パンをくれた。わあ、ごはんだ、ごはん。わたしはうきうきと食パンをみあげる。 「ほんとはいろいろ食べたいよね。ごめんね」  しょんぼりするなっちゃんに、わたしはありがとうって抱きついた。お風呂に入ってないわたしはけっこう臭い。それなのに、なっちゃんは嫌な顔もせずに、いい子いい子と頭をなでてくれる。えへへ、なっちゃん大好き。  むしゃむしゃパンにかぶりつくわたしの横で、なっちゃんは夏休みの宿題の話をしてくれた。読書感想文が残ってるとか、算数のドリルはもうだいたい終わったとか。  困っているのは、自由研究らしい。自由研究って言うんだから、やるかやらないかも自由なんじゃないのかなあ。っていうか、研究ってなんだろうね。「食べられるもの」と「食べられないもの」の見分け方なら、わたしにもお手伝いできるんだけどなあ。  朝ごはんを食べ終わったわたしがなっちゃんにべたべたくっついていると、お友達のみいちゃんもやってきた。みいちゃんは、あんまりなっちゃんと仲が良くない。みいちゃんはなっちゃんにくっつかれると、嫌そうな顔をする。  わたしとみいちゃんは前から仲良しだったから、それでもなんとなく三人で遊んでるんだけどね。でもね、わたしは知ってるんだ。みいちゃんもほんとはなっちゃんと仲良くしたいんだって。あまのじゃくなみいちゃんは、困ったちゃんだよね。
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