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令和二年の二月下旬のこと……。
時々まだ木枯らしが吹く、週末の午後だった……。
共に都立K女子大学1年のミカコとトモミは、よく立ち寄るS駅前のカフェで雑談していた。
その店の名称は……
『アンダンテ』
“ごゆっくり……” という意味らしい、その中は……
ちょっぴり大人のオシャレを感じるインテリアで、彼女たちは窓際の席にいた。
二人の前にはブレンドコーヒーがあった。
が、ほとんど置いたままだった。
その話を始めたのはトモミで、
「それって突然なんよ。現れてね」
「へー……それは驚くわ」
それは、都市伝説とも言える「かおうつし」の事だった。
「そしてガバッよ。押し倒すんだって」
「無茶するねー」
「そして、やることやったら、さっさと走って逃げるとか」
「許せないよね……」
「でもね、襲われるだけで、死ぬ訳じゃないらしいのよ……」
「それでも、やられた方は大変じゃん……」
「だよね……」
ふとトモミは、スマホを見て、
「あっ、もうそろそろ帰ろ。その女に遭うかもだから」
「それはヤバイわ」
二人は、一口だけ飲んだブレンドコーヒーをそのままにして、席を立った。
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