怪談 かおうつし

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 二人は、すぐに店を出ると、近道ということでトンネルに向かった。  少し(さび)しさはあったが、上をJR線が通っていた。  まだ夕方だというのに、その日に限って他の通行人は皆無だった。  トモミが、さっきの話のつづきを始めた。 「あっ、そうそう、被害者の子は、ほとんど美人だって」 「だから(ねら)う訳?」 「その女も、なかなかの美人らしいよ」 「だったら、ちょっと()ってもいいかも……」 「えー……?」 『それは良かった』  と後ろから声がした。  トモミは、はっとして駆け出した。  ミカコは呆然として、 「えっ、誰?」  と振り返った。  そこにいたのは、黒くて長い髪がドロドロで、赤いがボロボロのドレスを着た女だった。  ミカコは、その普通の顔を見詰めて、 「あんたは……?」 『いま、あんたたちがウワサしてた女よ』  と言い終わるまでに、突然ミカコを押し倒すと、その顔をミカコの顔に押し付けた。  ジュルジュルジュルー……………!
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