怪談 かおうつし

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 そして女は立ち上がると、走り去って行った。  ミカコは倒れたまま、呆然としていた。  隠れていたトモミは、近寄って、 「ミカコ……? 大丈夫……?」  ゆっくり立ち上がったミカコの顔は、あの女の顔になっていた。 「あんた、その顔……」  さっきの女は、瞬時に自分の顔と相手の顔を交換する『顔うつし』という妖怪だったのだ。  トモミは悲しそうに涙を流し、 「ごめんね……。あたし怖くって……」  するとミカコは、自分の顔を()わり、叫んだ。 「良かったー! かゆくないー!」  ミカコは、顔にアトピー性皮フ炎が出て困っていたのだった。 ――おしまい――
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