1人が本棚に入れています
本棚に追加
戻ってきた夫と共に、斎場の予約をした。
ほら、泣いていられないじゃないか。
私がしっかりしなければ、安心して弟は戻ってこれない。
悔しいほど星が瞬く夜になった。
そして斎場まで高速を走り、弟は運ばれてきた。
私と夫は、駐車場で待機していた。
間違いなく、この車だ・・・。
それは建物の裏側に回り込んでしまった。
慌てて斎場の中に入った所で、すぐに目に飛び込んできた。
慎重にストレッチャーを運んでいる。
ストレッチャーの上に、白い布がかけられた何かがある。
弟の遺体だとわかった時は顔を覆った。
エレベーターで2階へ上がっていく。
うそだ、うそだ・・・
恐る恐る階段を上る。
秀和が白い布をかけられて、ここに来たことを信じたくない。
でも、現実だ・・・。
和室の控え室にはすでに遺体安置の布団が敷かれていた。
ストレッチャーが去って行く。
そっと部屋に入る。
間違いなく弟だった。
私はきっちりと正座して肩をガチガチにこわばらせて、声を殺して泣いた。
両の手で顔を覆い、その隙間からただただ涙が流れていく。
動けなかった。
どうして、どうして、どうして・・・。
それしか言葉がなかった。
最初のコメントを投稿しよう!