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土方の過去
朝、俺が水浴びをしていると突然沖田さんが顔を出して
きた。「早いな、起きるの」欠伸をしながら此方へ
来る。そのまだ髪を結っていない姿や、羽織を肩に
かけている姿がイケメンと言っている様なもの
だった。「イケメンが…!」「何か言ったか?」
良かった。聞こえてなくて。「いえ、何でも…」
そして、少し冗談のつもりで聞いた。「水、
浴びます?」沖田さんは必死に首を横に振った。
「遠慮しておきます!」舌打ちをしたかった
けれど我慢した。
「お前、最近土方さんを避けてるだろ」温かいお茶を
飲んでいる最中に言うもんだから、思わず吹き出しそう
になった。「ぐふっ!ごほ、ごほ!」「大丈夫か!?」
あんたが悪いんだろう。背中を擦られながら少し
睨んだ。「どうしてそんなこと聞くんですか」
すると、沖田さんは目を細めた。「橘小百合を
知っているな」思わず声が出なくなった。
知っているも何も俺が死なせてしまったんだから。
俺の黙っている様子を見て沖田さんは「知っている
んだな。はぁ…少し土方さんの過去を話しとく。
しっかり聞いとけよ」あの人の昔話を聞いて何に
なるんだと思ったけれど大人しく聞くことにした。
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