壬生浪士組

1/1
前へ
/67ページ
次へ

壬生浪士組

それから四年が経った。 俺は久しぶりに京へ来ていた。「酒呑童子、お腹 空いた」うどんが食べたい。「我慢しろ、俺は 鬼なんだから」そうだ。一緒には入れない。 「でもさぁ〜…」その時…「壬生浪や」 「ほんまや!」突然町の人達が騒ぎ出した。 そして、自然と道のわきへ寄っていった。 取り残されたのは俺だけだった。「壬生浪って何…?」 その問いかけに答えるかのように前から大勢の男の人達 が歩いてきていた。「…ねぇ、これ絶対ぶつかる パターンだよね!?」酒呑童子は黙って頷いた。 「って、言うかそんなに怖いの!?あの人達が」 俺の言葉に頷く人もいた。でも、それ以上に…「町を 荒らしてるからや」…そんな感じしますね。うん。 「荒らしてそうですもんね、あんな大勢でいるから」 気づかなかった。もう手の届く場所にいることを…。 「おい」「って、言うか皆さんにお礼の一つも言って なさそうですよね」「おい!」声が聞こえて驚いて肩を 跳ね上がらせた。ゆっくり首を向ける。目の前の男性は 顰めていた。「あー…えっとその…」言い訳できない 気がする。「てめぇ、俺らを馬鹿にしてんのか?」 「ひ、ひぃぃ!」い、威圧が凄い!鬼よりも怖い! 「ば、馬鹿にしてませんってば!だって道を開けて もらってるんですからお礼の一つくらい言ったら どうなんですか!」言い終わると、鬼よりも 怖い人は唖然としていた。や、やば…。やって しまった。そういえばさっきからいろいろと やらかしてる気がする。鬼よりも怖い人は眉を ピクピクとさせ、「てめぇ…。あのなぁ、守って やってんだからそれくらい別にいいんだよ」 だめだ。この人達、全く分かってない。町の人達も 睨んでいる。「…ふざけんなよ!守ってやってる!? てめぇらが勝手にやってることじゃないのか!? 勝手に町、荒らしてお礼の一つも言えないでだから 嫌われてんじゃないの!?それくらい町を守ってる奴 なら分かるだろうが!」ハッと我に返った。 流石にこれはさっきよりも…。でも、これだけ嫌われ てるんだから気づくでしょ。あれくらい。 「…」何の返答もないんですけど…。町の人達も何故か 俺をガン見して固まっている。この空気に中に いたくなくて「…す、すいませんでしたぁぁぁぁ!!」 俺は走って逃げた。(酒呑童子を置いて)
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加