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土方と沖田(奢る話)
「はぁ、はぁ…」俺はやっと姿が見えないところまで
来た。そして、気づいた。「あ、酒呑童子
置いてきた…」やべぇ…。どうしよう。でも、
流石にもうあそこにいないだろう。だって、
立派に頭に角生えてるし、巨大だし…。でも、
今日は災難ばっか。恥もかいたし、おじい様からも
目上の人や相手には礼儀正しくしろって言われて
たのに…。「あーあ…もう死にたい」
早くこの世からおさらばしたい。
「さっきの男、土方さんに凄い度胸で怒鳴って
ましたね」総司がニヤけた面をして言ってくる。
「…お前みたいに怖いもの知らずだったな」俺が
言うと、総司はまた笑う。「そうですよ、
俺に怖いものなんてないんですよ!」
胸を張って自慢してくる。…うぜぇ。マジでうぜぇ。
「今、うざいって思いましたよね!?」なんで分かる。
「…顔にはっきりと出てます。っはぁー、こんなん
だから人徳ないんですよ…」「何か言ったか」
総司は首を横に振る。「いえ、何でも!
(…これ慕う人いないでしょ!)」顔を引きつらせて
いた。「総司、あいつを明日探してこい」部屋の中に
異様な空気が漂った。「…え、絶対嫌なんですけど!?
何で俺をこき使うのさ!あんたが直接探せば
良いでしょうが!」耳に声が響く。「…甘味処で
みたらし団子十本」「ぐっ…」「桜餅、二十個」
「さ、桜餅…」トドメは…「うな「やります!」
目を輝かせている。鰻の効果、すげぇと改めて
思った。まあ、鰻は当然買わないがな。
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