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「殺してやる……! お前ら、全員殺してやる!!」
その少年は憎悪に満ちた雄叫びを上げている。
少年は亡骸になった女の子の奴隷を抱きかかえていた。
「俺たちが何をした……俺たちはお前たちと同じ人間なのにっ……!!」
血塗れの少年がこちらに向かって吼える。
その言葉に、私の後ろに控えていた兵たちが血相を変えた。
「何をっ! この方がお前たちを解放した……!」
「よい」
兵を手で制す。
兵の代わりに少年へ言葉を投げた。
「……それは貴様たちが弱いからだ」
冷たい声でそう返答してやる。
戦乱の世。
時として憎む相手がいる方が生きることもできるだろう。
少年はギリッと歯を噛み砕かんばかりに喰いしばっている。
世の真理を突きつけられて。懐に抱く亡骸の冷たさを感じて。絶望に打ちひしがれているのが良く見て取れた。
「だが、戦い方もある」
「へ、陛下っ!?」
制止しようとする兵の声を無視して少年へと近付く。
彼を見下ろし残酷に告げてやる。
「私のものになれ。戦う術を教えてやる」
「……っ」
「その亡骸に意味を持たせたくはないか?」
かくして少年は立ち上がった。
「名は何という?」
「……レオン」
救世主である女王を復讐に燃える瞳で見据えたまま。
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