バケモノを育ててみた

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◇◇◇◇◇ 「よっ、久しぶり」 「悪かったな、わざわざ来てもらって。入ってくれ」  久しぶりに会ったタケシは少し疲れた顔をしていて、久しぶりに入ったタケシの部屋は少し雑然としていた。 「それで?どうしたんだ?」  小さな座卓の前に座るや否や話を切り出す。  積もる話をする気でビールとつまみをたっぷり買い込んで来たが、タケシの顔を見るとそんな余裕があるように見えない。 「あのさ…」  タケシはビールに口を付けると、ゆっくりと口を開いた。 「“ターノ”ってユーチューバー覚えてるか?」 「ああ。数年前、メダマちゃんとかいう変な飼育動画上げてた?」 「そう。……そのメダマちゃん動画、どこまで知ってる?」 「最後頭おかしくなって、動画消して本人も消えたくらいしか。そのメダマちゃんがどうしたんだ?」 「メダマちゃんさあ、最初白い小さい卵みたいだったのが眼球になって、その眼球から視神経が伸びてその先に脳みそが出来て…」  グロ!俺、動画とかあんま見ないけど、そんなグロいの配信して大丈夫なのか?いや、大丈夫じゃないから消えたのか。 「その脳みそが出来てからおかしくなっていって、最後の配信はメダマちゃん捨てるって言ってたのに何でか捨てられなくてさ…」 「おいタケシ?何の話を…」  タケシは俺の制止が聞こえないかのように、話を続ける。 「その翌日、完全にイッてるターノがメダマちゃんを殺してやるって包丁持ち出して視聴者を引きつけといて、水槽に掛けてた布をカメラにかけてしまったから、肝心のところは音しかきこえなくて。短い叫び声と物が倒れる音が流れた後、1時間以上も真っ黒な画面が続いて、最後に何か濡れた足が床を歩く音がしたって…」  狭い部屋に沈黙が落ちる。  あの配信はかなり話題になった。配信が止められたすぐ後全ての動画が削除されたため、動画やメダマちゃんの真偽も分からないまま、誰も話題にしなくなった。
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