10.飛び込み

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10.飛び込み

10.飛び込み  私は駅前のタクシー乗り場から少し離れた所でタクシーが近づいてくるのを待った。  タクシーに轢かれれば、完全犯罪が成立するのだ。  だが、午後11時を過ぎていたのでタクシーはなかなかこない。  やっと、タクシーが近づいてきた。  私はタクシーの前に身を投げた。  運転手の顔は見えなかった。タクシー会社もわからなかった。  運転手が急ブレーキを踏んだが、私の体は鈍い大きな音を立て、道端に投げ飛ばされた。  運転手が車を降りてきて警察に電話している。  私は、意識が薄らぐ中で足の痛みを感じていた。  死ぬほどの怪我ではないと思った。  完全犯罪は成功したと思い、私は意識を失った。
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