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puroro-gu
俺は中谷 流司 【ナカタニ リュウジ】
31歳の外資系企業に務めている会社員だ。
仕事を徹夜してまで終わらせたので今は電車で帰っているところだ。
別にブラックで、やらされたわけではない。寧ろ、ホワイトだ。これは自分の意思でやると言ったのだ。
ガタンゴトン ガタンゴトン ガタンゴトン
今日は1日、疲れたので帰ったら風呂に入って即行で寝るつもりだ。夜ご飯は要らない。食べるのが面倒くさいし、今でさえ、こんなに眠くて風呂に入るのもやっとだと思うのに...夜ご飯も食べることなんて出来るのか?
絶対に無理だろうな。
ガタンゴトン ガタンゴトン ガタンゴトン
いつも帰る時間は夕方で人も沢山いた。
でも今の時間は深夜の11時58分なので人も突然少ない。
いつもとは違うので変な違和感を覚える。
ガタンゴトン ガタンゴトン ガタン ガタンゴトン
次はー、夜白駅ー夜白駅ー終電です。
夜白駅【ヤシラエキ】...って?
そんな駅あったっけ?
俺の帰りの終電の駅は桜井駅だったはず...。
俺はいつもと、同じルートで帰っているはずだ...。なのに何故?
ガタンゴトン ガタンゴトン
俺がそう疑問に思い始めたら、他の人達も俺と同じことを思ったらしく..ざわつき始めた。
「は...?夜白駅って何だよ...桜井駅じゃねえのかよ...?」
と高校生くらい青年が言った。
「え...?!次は.....桜井駅じゃ...。」
とお金持ちのダンディーな、おじ様が言った。
「....?!」
俺と同じくらいの年齢の会社員は無言ながらもとても驚いていた。
「え...?確か、終電の駅は桜井駅だったはずじゃ?!え...?ぇ...?」
と俺よりも若そうな会社員の女性が言った。
「ん...?俺の聞き間違えですかね...?桜井駅が夜白駅って聞こえるんですが...?」
と目に隈が出来ている会社員が言った。
「...はぇ?皆さん、どうかしたんですか?寝てたから、何が起きてたか...分かりませんでした...。」
と戸惑いながらも眠そうな男性が言った。
バタンッ!
隣の車両の扉の開いた音がした。
「皆さん!助けて下さい...!皆さんもお分かりのようですが、これは明らかに可笑しいですって!このルートは30年間も使っている僕が断言致します!これは明らかに可笑しい!!」
と高校生くらいの真面目そうな青年がそう叫ぶ。
確かにこれは何かこれは明らかに可笑しい。
いつものルートで帰っているはずなのに。
これは...一体......夜白駅....は..何なんだ。
でも、もう恐らく...直ぐに分かることだろう。
ガタンゴトン ガタン ゴ トン プシュー
夜白駅ー夜白駅ー終電です。
お出口は右側です。
お荷物のお忘れないようにお気をつけて下さい。
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