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校舎の屋上に到着するなり、一番図体のデカイメンバーの坂谷に、手摺りの方に放り投げられた。 身体が手摺りにぶつかり、かなり痛い。 「さっさと金出せ!時間ねーからよ」 わりと小柄だが、一番威勢がよくてチンピラっぽいメンバーの深見が、そう怒鳴りながら近寄ってきた。 「…すいません…」 ボソッと呟くのが精一杯だ。 「はあ?!何だ?!」 「あの…今日は持ってこれませんでした…」 「何ぃ?!おい!てめえ、ナメてんのか?!」 すぐに深見は胸倉を掴んできて、私の腹部を殴りつけてきた。 息が出来ないのと激痛で、気を失いそうだった。 すると深見の背後から拍手が聞こえた。 「はい、罰ゲーム決定!」 拍手しているのはグループのリーダー小田切だった。 成績優秀な上に、スポーツ万能で陸上部のエースだが、このグループのリーダーであり、メンバーは皆小田切の指示で動いている。 「次のお昼休み。ここで罰ゲーム決定ね」 小田切はそう言って私にウインクすると、深見はもう一度私のみぞおちを殴りつけてから、顔に唾を吐きかけてきた。 「へへ、楽しみにしてろよ」 そう言ってから、グループは屋上から去って行った。 私はまだ痛い腹部をさすりながら、なんとか立ち上がって、ノロノロと歩き、フラつきながらも、どうにか階段を下って教室に辿り着いたが、すでに二時限目の授業は始まっていた。 授業を担当する数学教師が、遅れて教室に入ってきた私に、 「真面目に授業を受けるつもりありますか?担任の先生には報告しときますからね」 と言いながらジロリと睨みつけてきた。 私は先生に頭を下げて謝罪してから、なんとか自分の席に着いた。
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