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「サン国王が言ってただろお? “父は人知れず病と闘っていました”って。ご立派だなあ」 「……そうだが」 言いながらも、ノッポは飲み込めない様子だが、閃いたように話し始めた。 「まあ、サン国王は北の森のバケモノの討伐を成し遂げた。過去にバカ王子と呼んでいたことだけは恥じなきゃならんな。何百年もの間、国王たちが頭を悩ませてきたバケモノを殺したんだから」 その一大ニュースは、先週国民に知らされたばかりだった。太っちょが興奮気味に続く。 「僕らは勇気ある国王の元にいられて幸せだよなあ。お妃様になる方は、麗らかなベージュの髪に海のような青い瞳らしいなあ。どこか遠い外国のお姫様だってなあ。さぞ美しいんだろうねえ。まあ、僕の奥さんが世界一だけど。ふふ」 「お前は嫁さんができてから食い過ぎだ」 「羨ましいんだろお? 僕の奥さんがお料理上手だから」 ノッポのため息と同時に、城の空に、結婚式の始まりを告げる花火が上がった。
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