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“北の森には世にも恐ろしいバケモノが住んでいる”
それは、この海に囲まれた小さな島国に住む誰もが知る言い伝えだ。
言い伝え、と言うには少し語弊があるかもしれない。なぜならそれは真実だから。何百年も前から王国の兵士たちがそのバケモノの討伐を試みて、その度にその隊はあっけなく壊滅したという。
けれどどういうわけか、バケモノは森の外に出てくることはなく、自ら人里を襲うようなこともない。
なのでいつからか王も国民たちも、倒すことの出来ないそのバケモノの存在を暗黙の了解とし、森に近づくことは固く禁じられた。
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