4

2/3

11人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
目を伏せ小さく息を吐いたサン王子は、少女の向かい側の木の根に座り、ひとつの包みを取り出した。 その様子を見ていた少女の表情は、みるみる明るくなっていく。 「ねえ、それは何?」 青い鳥が飛び立ち、木の枝にとまって2人を見下ろす。 「これは、ブルーベリータルトという菓子だ。国でブルーベリーの収穫祭があってな、街では今これが流行ってる。食べるか?」 「ありがとう!」 サン王子が差し出すと、少女は子供のように口の周りに紫色のソースを付けながら幸せそうに食べ終えた。 「君なあ、もう少し淑やかに食ったらどうだ?」 「淑やか?」 「……いや、いい」 サン王子は仕方ないなと言いながら白いハンカチを取り出すと、荒っぽく少女の口を拭った。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加