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目を伏せ小さく息を吐いたサン王子は、少女の向かい側の木の根に座り、ひとつの包みを取り出した。
その様子を見ていた少女の表情は、みるみる明るくなっていく。
「ねえ、それは何?」
青い鳥が飛び立ち、木の枝にとまって2人を見下ろす。
「これは、ブルーベリータルトという菓子だ。国でブルーベリーの収穫祭があってな、街では今これが流行ってる。食べるか?」
「ありがとう!」
サン王子が差し出すと、少女は子供のように口の周りに紫色のソースを付けながら幸せそうに食べ終えた。
「君なあ、もう少し淑やかに食ったらどうだ?」
「淑やか?」
「……いや、いい」
サン王子は仕方ないなと言いながら白いハンカチを取り出すと、荒っぽく少女の口を拭った。
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