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5年後──。
時々晴れ間の見える曇り空の下。国王の結婚式で人の出入りの絶えない城門では、門番の2人が片側に寄って敬礼を繰り返していた。
1人はノッポで険しい表情。もう1人は兵服がパツパツな程に太っちょで穏やかな表情だ。
「めでたいなあ、めでたいなあ」
太っちょが言った。
「結婚式ねえ……。先日、先王の喪が開けたばかりで、やけに早くないか? あんなにお元気だった先王の死も突然だった」
ノッポは敬礼を続けながら、眉間に皺を寄せ訝しげに呟いた。
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