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「私を殺したって構わないけど、見た通りただの人間よ。その物騒な物はしまったら? それにしても、王子なのに何も知らないのね」 ほら武器なんてないでしょう、と、少女が色白な手を上げてみせる。 その様子を見たサン王子は、しばらくの間を置いて剣を鞘にしまい、近くの木の根に座り込んだ。 「俺が何も知らないとは、どういうことだ?」 何度か深呼吸して、サン王子は落ち着きを取り戻したようだ。 「私はこの国に平穏が続くように、森に閉じ込められた生贄よ」 少女は視線を落とし、悲しい目とは裏腹に口角を上げて話し始めた。
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