アルクツルス

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……さて、問題はベガの野郎がどうでるか、だ。 流石のあいつも、早速殺して帰ってくる事はないだろう。 あいつは人間に興味深々だ。 古い文献を穴が開くほど読み漁っている事を俺は知っている。 だからあいつは人間の真似が得意になった。 もっと真似したいなら、生かしておくに違いない。 それとも、近頃は権力が惜しくなったかな? 『人間協会』の奴らに真似されて慕われて、 神にでもなったかのように悦に浸ってやがるもんな。 自分が人間でない証拠の隠滅に、赤ん坊を殺すか? 自分とまるで違うように成長したら、困るもんな。 いや、そんな事したら、信者どもに示しがつかない。 知能があるならそれはしないだろう。 まあ、やりかねないが、 スラム街のキメラどもだって人間が凄いって事は知っている。 それをどうにかしたとなれば、疑心が生まれ、信仰は廃れる。 わかってるよな、お先真っ暗だってことくらい。 ま、どうなろうと俺の知ったこっちゃねーけど。 この世界は歪みまくってて、娯楽が少ないんだ。 出来る限り俺を楽しませる選択を取ってくれよな、相棒!
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