FINAL ACT

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**** 目が覚めると、自分の部屋のベッドで寝ていた。 時間は、5時45分。 どうやって、帰ってきたのか。 ぼんやりとした記憶の中、歩いて駅へ行き電車に乗ったことを思い出す。そのあとは……家に帰って、お風呂に入って……寝た。 それらはとても、ぼんやりしていて。どうやって松瀬くんと別れたのかも思い出せないし、漠然として、夢のような気もするけど――松瀬くんに言われたことは、言ったことは、鮮明に覚えている。 忘れさせて欲しいと、言ったのに。 松瀬くんのことを想ってしまう、胸が痛い、苦しい、辛い、悲しい。 私を好きじゃないって言ったのに、距離を置くって言ったのに。 どうして、忘れさせてくれないの? 私のことなんて、気持ちなんて、どうでもいい? それとも、忘れて欲しくない? だったら、どうして離れるの? 全然、分からない。 『好きだ、芽愛里』 あれは、あのぬくもりは。 やっぱり、夢だった。 そう思った途端、すべてが一気に色褪(いろあせ)せ――ぎゅっと、目を閉じる。 だいたい、どうして? 『僕はもう、好きではない』 考えても、分からない。 何をしたのか、してしまったのか。 私とはもういられないと思うほどの、ことって? 夏帆と、話したい。 夏帆になら全部を、話せる。 まとまらない気持ちを、聞いてくれる。 松瀬くんの悪口を言いながら、一緒に考えてくれる。 美味しいご飯を一緒に作って、たくさん作って。 笑って泣く私を、抱きしめてくれる。 でも。 夏帆にも、嫌われた。 涙が落ちそうになるのを堪え、重い胃を抱えていると、目覚ましがなった。 6時10分。 行きたくない、休みたい。 でも、休んで迷惑をかけたばかりだし、水口さんは子供の病気で休んでいる。 失恋で……休めない。 大きく息をついて起き上がると、のろのろ、階段を下りた。
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