2/12はもうすぐ終わり

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 ふと目がさめると23時55分だった。どうやらいつの間にか眠っていたらしい。テレビは深夜番組特有のディープな話題でタレントたちが盛り上がっていた。少し寝ぼけていた私はぼんやりと見入ってしまう。CMに入ったところでふと我に帰り、テレビを消す。瞬間、台所から響く換気扇の音と窓越しながら聞こえてくる雨音だけになる。今日という日がゆっくりと眠りにつこうとしていたのだと感じた。電気を消して、ベッドに潜り込む。カーテンから遮られてもなお漏れ出すわずかな光が室内に差し込む。ぼんやりと部屋に置いてある家具の輪郭が不明瞭になり境界が溶ける。私はこの光景が好きだった。  熱を出して眠り、ふと夜中に目がさめる。熱に頭が浮かれて天井がいやに近く見える。意識もはっきりせずに曖昧だ。もしかしたら現実に限りなく近い夢なのかもしれない。と、そんなことを思っていた幼い自分を思い出せるのがこの一瞬だった。  デジタル時計が小さく2/13になった時報を鳴らす。目を閉じて私も夜に溶けるのを待った。
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