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「帰ったぞ!」
何かを手にして立ったまま視線を床に落としていた彼女は、俺の姿を見るやいなや弾かれるように駆け寄って来た。
「エロンソ様!」
俺は潤んだ瞳の彼女に手を伸ばす。すると背中にそろりと手が這った。込めた力の分だけ返ってくる腕の圧が心地よい。
しかし、明らかな異変があった。
「……コンスタンサ。あの荷物は何だ?」
さっきまで彼女がいた場所に大きなトランクが置いてある。そして机の上には針一つ置いていない。
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