消えない写真

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消えない写真

 蒸し暑い屋上を通る風が、どこか冷たい。もしかしたら、あたしがそう感じるだけ?  わからない。  わかることなんて何もない。  最初に酷いことされた理由も、あっちが勝手に告白してきたのを断っただけなのに。  ……あぁ、駄目。  呪う言葉しか出ない。  これじゃ嫌われるよね。  あたしは、何だったの?  わからない。  お腹痛い、身体汚い、気持ち悪い、消えたい、壊したい、壊れてよ。いくら思っても願っても夢じゃなくて都合のいい展開も訪れない現実、いらない。  誰にも言えるわけない。薬飲んでも怖いし、息苦しくて、誰もこの気持ちがわかるわけないのに理解されないのが辛くて、でも知られたくない、きっと嫌な顔されるだけ……なんでこんな思いしてここにいるの、あたし?    何もしたくなくて、何かしなきゃ押し潰されそうで、行き場のない気持ちを押し付けられる相手ももう、あぁ。  どうしたらわかってくれるの?  構わないでいてくれるの?  ちゃんと見てくれるの?  どうしてほしいの?  わかんないけど。  有紗(ありさ)には覚えててほしい。  ごめん、気にするよね、縛り付けるよね、思い出すたびに痛い、目を背けたくなる思い出になるよね、有紗は優しいからきっと覚えててくれる、あたしを拒んだのは有紗だもん、最後の壁を壊したのは有紗……違うか。  学校で虐めて、SNSにまで嫌な姿曝したりして、それで思い通りにしてきたやつらだよね、有紗は悪くない、きっと。たぶんそうなんだ、もしかしたら。  でも、もう終わるから。  関係ないよね。  さよなら、世界。  誰かの未来に、一生消えない黒いシミとして残れますように。  ばいばい、有紗、みんな。  絶対、許さない。
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