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フォルダに眠る
「ままー、ぴーす!」
「はぁーい。可愛いね、美夢~」
パシャっ!
乾いたシャッター音に満足したようにカメラの前から離れて、娘はまた遊具で遊び始めた。小学校最初の学期が終わり、夏休み。できることなら涼しい我が家にいたい気もしたけど、美夢にねだられたら逆らえないのもまた事実。
子どもなんて苦手~、なんて言っていた昔のわたしは、すっかり親バカになった今のわたしを見てどう思うかな? ふと思い出しながら娘の写真を確認しようとして、つい見てしまった。
表示されたのは、1枚の写真。
まだ真新しいブレザーを着て抱き合った姿勢で写真に写るわたしと、最愛の親友だったひと。
……ねぇ、咲桜。
思わず、心のなかで語りかける。
わたしはさ、たぶん今ごろはまだあなたと馬鹿なことして笑い合ってるって信じてたんだよ。
最近ようやく聞こえるようになってきたセミの声が、あの夏の日とよく似ているように思えて、瞳を閉じた。
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