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「じゃ、行ってこい。今日の指名はすごいぞ。うちの稼ぎ頭。真中一(まなか・はじめ)君だ」
「真中一って…」
今日本で知らない者はいない、大人気若手役者じゃないスか…!
うちの事務所でぶっちぎりの稼ぎ頭。
所属したのは中学のとき。
人気役者の登竜門と言われる日曜朝の戦隊もので主演を務め、そこからはもうブーストが止まらない。
今はもう見ない日はないってくらい、ドラマ映画CM雑誌その他もろもろ。
稼ぎまくってる。
さらには歌までリリースして、これもバカ売れ。
大人気アーティストに曲を作ってもらい、一緒に歌番組に出演して、歌手としても地位を確立している。
今22歳だが、とんでもなく売れて、売れすぎて、うちの社長も対応に困ってるくらいだ。
そんな真中一さまから指名をもらってしまった…。
俺にできるんだろうか…。
「くれぐれも失礼のないようにしろよ。わかったな?」
「わ、わかりました…」
緊張で胃が痛む。
胃薬を飲もうかと思ったが「早く行け。一秒でも遅れるな」と社長に睨まれたため、仕方なくドアの外に飛び出した。
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