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「あぁ。両性具有は価値がある。
で、お前生理の方はどうなんだ。女みたいに孕んだりすんのか?」
「いえ、子宮はないのでありません。ただ女性器がついてるだけです…」
「最高じゃねぇか! 妊娠のリスクはなしだな!生理でできないっつーこともない! これはかなり儲けられるぞ!」
「そうなんですか…?」
そんな悪趣味がいるとは思えないけど。
俺は未だに童貞だ。
こんな体を人に見せられるわけがない。
事務所に入ってからそれなりにモテたけど、すべて拒んでる。
非常にもったいないことをしている…。
「あぁ。まぁ最初のうちは抵抗あるだろうから無理強いはしねぇよ。相手もちゃんと選ぶ。――直江司(なおえ・つかさ)でどうだ…?」
「な、直江司さんって…かなりのベテランの役者さん…」
年齢42歳。
しかし見た目は一回り若く見える、陰のあるイケメン俳優。
クールな役が基本で、ミステリアスな雰囲気がおもに年配の女性からうけている。
「あいつ好きなんだよ。お前みたいなやつ。まぁ両性具有とヤッたことはないと思うけど、だからこそ興味を持つと思う」
「そうなんですか…」
直江さんがゲイだったなんて。ビックリ。衝撃。
え、っていうか待って。俺はゲイじゃないんだけど。
これ男の役者相手にセックスするって、俺的にかなり苦痛が大きいんだけど…。
「直江の予定はどうだ?今日は空いてるか?」
「確認します」
側に控える秘書が、直江さんのマネージャーに連絡を取る。
待って、俺の意思を無視して勝手に進めないで!
「22時以降だったら空いているそうです。直接マンションの方に行ってほしいと」
「わかった。連れてってやれ、石黒(いしぐろ)」
「はい、社長」
秘書ではなく眼鏡スタッフが頭を下げながら言う。
あ、あなた石黒さんって言うんですね。
いやそうじゃなくて!
俺、ノンケなんだけど!掘られたら嫌なんだけど!男に触られたくないし、触りたくもないんですけど!!
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