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服を脱ぎ、カゴに入れてガラス張りのドアを押す。
直江さんが使った後だからか、湯気がたちこめて濡れている。
あーマジか俺、ほんとにヤんのかぁ…。
下半身を洗いながら、ここを触られることを想像する。
せめて初めては好きな人がよかった…。
直江さんのことは好きだけど、そういう意味じゃないし、心の準備とかちゃんとした段階も踏まずにするなんて…。
これ完全に売春だよな。
俺の報酬が何なのか知らないが、金だったりしたら完全に売春だし、仕事だったら枕営業だ。
熱い湯を頭からかぶりながら、ぼーっと色んなことを考えては下半身を萎えさせる。
「やっぱり辛い? 男とヤるなんて抵抗あるよね」
「え、あっ…!」
なぜか直江さんが立っていた。
服は着ている。
部屋着の黒いスエットパンツと、白の長袖Tシャツを捲りあげている。
「洗うの手伝おうと思って。それくらいなら大丈夫でしょ?」
「だ、大丈夫…」
じゃないです!無理です!
しかし俺に拒否権はない。
ヤクザ社長の顔が浮かぶ。
事務所を出るとき「絶対逃げるなよ。逃げたらわかってんだろうな…?」と念を押された。
直江さんの機嫌を損ねたりしたら、俺の役者人生は終わる。
社長にチクられたりしたらおしまいだ。
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