あなたの全てを知りたくて

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あなたの全てを知りたくて

今でも信じられないわ私にあんなに素敵な恋人ができるなんて。 彼は本当に素敵な人よ。とても穏やかな人で誰にも嫌な態度の一つ見せないの。 つい先日二人でブランチを楽しんでいると彼は自分のサラダのお皿に芋虫が這っているのを見つけたの。それでどうしたと思う?普通の人だったらウェイターを呼びつけてその場で文句を言うでしょうね。 でも彼は違うの。芋虫を見つけた彼は緩く微笑んで「これはこれは、どうやら僕の頼んだこのサラダはとても人気の代物らしいよ。」 なんて冗談を言ったかと思うとナプキンで芋虫をさっととって外の生垣に離してあげたのよ。一応ことの顛末をウエィターに伝えるのだけれど、それだって全然威張らないの。他のお客さんに聞こえて店の心象が悪くならないようにこっそり耳打ちして伝えて 「野菜が新鮮な証拠ですね」 なんてセリフを言った時には、私はウェイターも思わず彼に惚れてしまわないか気を揉んだくらいよ。でも本当は彼の心変わりなんてちっとも心配していないわ、だって私は彼の事を誰よりも知っているんだもの。 スラっと伸びた長い足や私にしか見せない甘い笑顔、辛い物を食べる時に仕切りに瞬きをする癖も猫を触る前に「失礼します」って必ず呟く事だって私は全部知ってるの。彼の事を誰よりも理解して心の底から愛しているのだから。  でもね、一週間前に少しショックを受けることがあったの。  
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