7人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
とにかく、このままではどうする事もできない……と、オレは、考えまくった末、恥をしのんで……
「オレオレ詐欺」のマネ事をすることにした。
あまり利用されてないボックスを使った。
電話帳で、適当に古そうな名前を選んで十数件、ダイヤルした。
が、今の時代、みんな用心深くなったのか、いっこうに上手くいかず、相手はすぐに切ってしまった。
オレは思い悩み、適当に思いついた番号に、電話してしまった。
数回のコールの後、中年の女性が出て、
『はい、もしもし?』
「あっオレだよオレ、息子のレイジだよ」
オレは、本当の名前を言ってしまい、うろたえた。
それは、相手の声に、妙な親しみを感じたからだった。
『あー、レイジなの……」
『実は事故っちゃってさ……。先にいくらか払わないと、ヤバイ事になりそうなんだ……」
『それで……いくら、要るの?』
「とりあえず二十万、振り込んでくれる?」
『はい、分かりました』
オレは仕方なく、前から持ってるK銀行の口座番号を言った。
もし、これがバレて、警察に捕まって、刑務所に行く事になっても……それはそれで三食、保証されるからだ。
そしてオレは電話を切った。
が、その後で、どこへ電話したか気付いたオレは、呆然として、
「ヤバイ……一番ヤバイ所に電話しちゃったよ……」
最初のコメントを投稿しよう!