思いついた番号

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 とにかく、このままではどうする事もできない……と、オレは、考えまくった末、恥をしのんで…… 「オレオレ詐欺」のマネ事をすることにした。  あまり利用されてないボックスを使った。  電話帳で、適当に古そうな名前を選んで十数件、ダイヤルした。  が、今の時代、みんな用心深くなったのか、いっこうに上手くいかず、相手はすぐに切ってしまった。  オレは思い悩み、適当に思いついた番号に、電話してしまった。  数回のコールの後、中年の女性が出て、 『はい、もしもし?』 「あっオレだよオレ、息子のレイジだよ」  オレは、本当の名前を言ってしまい、うろたえた。  それは、相手の声に、妙な親しみを感じたからだった。 『あー、レイジなの……」 『実は事故っちゃってさ……。先にいくらか払わないと、ヤバイ事になりそうなんだ……」 『それで……いくら、()るの?』 「とりあえず二十万、振り込んでくれる?」 『はい、分かりました』  オレは仕方なく、前から持ってるK銀行の口座番号を言った。  もし、これがバレて、警察に捕まって、刑務所に行く事になっても……それはそれで三食、保証されるからだ。  そしてオレは電話を切った。  が、その後で、どこへ電話したか気付いたオレは、呆然として、 「ヤバイ……一番ヤバイ所に電話しちゃったよ……」
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