思いついた番号

5/5
前へ
/5ページ
次へ
 後日、オレはビクビクしながら、K銀行のATMに向かった。  が、刑事らしいヤツは皆無だった。  オレは、怪訝(けげん)に思いながら自分の口座の番号を打ち込んだ。  すると振り込み額のところに、 『300000円』  オレは、それを見て思わず叫んだ。 「ついに母親もボケて、三十万もー!」  しかし、その下の連絡事記入枠を見ると、 『心配しないで、いつでも帰ってらっしゃい』  オレは涙を(あふ)れさせながら、三十万円を引き出すと、トボトボと銀行を後にした。 (しかし、このままでは帰れないよ……)  オレは、真面目に働く決心をしていた。  ――終――
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加