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慟哭だってただの音
誰かが死んだとき
一番最初に忘れるのは『声』なのよ
話すことも出来なくなって
自分がどんな声をしていたのか
思い出せなくなった私はきっと
きっと
死んでしまっているのよね
この世界に私は居ないの
学校で聞こえるのは私への罵倒
家で聞こえるのは両親による互いへの罵詈雑言
私の声が入る余地なんて何処にも無いの
私はきっと殺されているのね
言いたいことも言えなくて
ひたすら私を殺しているのね
皆言いたい放題言っていて
私は何も言えないの
伏せた視界が滲んでいく
固く結んだ口が緩んでいく
本当は
本当に
私だって生きているのよ
私だって
鳴らし方を思い出しながら
掠れた音を奏でてみるの
今から言うから
お願い見ていて
聞いてくれなくて良いから
この口が開くのを見ていて
大きく息を吸って
息が詰まった苦しさか
詰め込んできた苦しさかもわからないけれど
一気に吐き出し
誰にも聞こえない声で叫ぶから
お願い
一時の夢でも良い
お願いだから
「愛して頂戴……っ!」
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