魂年齢、親子関係

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魂年齢、親子関係

 「レベッカの…」 そう言いかけたら  「えっ? ああ、次はレベッカの事か?」 戸惑った感じでリアムがそう言った後 チェイスが可笑しそうに  「なんの脈絡もなく あちこち話題が飛ぶのは女の特徴だな。 さっきまで話していたことは壁にピン留めして 一旦置いておく。俺は脳内でそう処理してる。 ついて来れるか?リアム」  「ああ、ドラマだと場面が変わって 主人公以外の人物のストーリーが同時進行で始まるだろ。 俺はそんな感じで切り替える」 2人に聞いたことがあったっけ。 確か脳にある情報伝達のパイプみたいなのが 女性は太い。 だからたくさんの情報をが行き交うけど 男の人は情報伝達のパイプが細くて たくさんの情報処理が苦手で 話題に一貫性がない女性との会話に混乱する 確かそうだったかな。 私、まさにそうだ。 頭の中がとっ散らかってるまま話すから 2人は振り回されて大変だろうなぁ。 私がそう思ったことを見透かした様に チェイスがすぐにフォローを入れてくれた。  「ホリー、いいとか悪いって事じゃないからな。 単に男女脳の特性が違うって話だ。 レベッカがどうしたって?」  「レベッカのお父さんは幸せな彼女を羨んで 父娘(おやこ)を繋ぐテディベアに取り憑いて苦しめてた… 本当の娘なのにどうして?」 チラッと私を見遣った後、再び前を向いたリアムが  「動物は本能で子供を育てるが… 人間の子育ては想像力だと聞く。 生まれた我が子の世話をしてスキンシップを重ねていく中 愛おしくてたまらなくなるのが人。 俺とチェイスもお前を育てる中、それを実感してる。 だが、中にはその想像力が欠如している人間もいる。 子殺しがあるだろ。 産んだからって親になれるわけじゃない。 親だからって絶対に子を愛せる、そういうわけじゃないってことだ。 お前の母親リア・ハーディングも然り。」  「他に親子の魂年齢問題ってのもある」 チェイスの声に振り返った。  「どういうこと?」  「今生での年齢と魂年齢は別物ってことさ。 親よりも子供の魂年齢の方がかなり上って事もある。 この子は何を考えているのかわからない、とか育てにくい って嘆くケースはだいたい、子供の方が魂年齢は上かな。 了見の狭さ、思い込みの壁をぶっ壊したくて 学んで欲しくて、あの夫婦の所に行く。 そう魂が挙手して親を選んで生まれてくるらしい。 中にはうまくいかない事もある。 あまりに子供と親の魂年齢が大きくかけ離れすぎると 親が育てきれずに悲惨な末路を辿る事だってある。 アイザックの親もそうだ。」  「魂年齢って、魂の経験値だよね?」  「そうだな。過去世で培った想い、経験 それらが魂に年輪みたいに刻まれてるのかもな」 血が繋がってる親子だって、どうしても理解し合えなくて 相容れないまま険悪な関係もあるんだろうな。 親子… そうだ。 もう一つリアムに聞きたいことを思い出した!  「私、リアムの家族の事も知らない。 話したくないなら無理しなくていいよ」  「俺も自分の家族とは距離を置いて関わってない。 血の繋がりのある家族だけどな。 俺の父親はハートウォーミング系のドラマにあるような 父と息子に憧れがあってな… 強くてたくましい父親 その父を尊敬して止まない利発で活発な息子 そんな設定がひと昔前にはあったろ。 土日には少年野球チームのコーチをはりきって 引き受けてたな。 俺はアメフトや野球に興味はない。 プログラミングやゲームの方が好きだったからな。 父さんはそれが気に入らない。 パソコンに向かってたら、野球をしろ 渋々、やってたら今度は勉強しろ…… 正直言って、大嫌いだった。」 c7226f25-9c71-4de9-a0c7-4c0a5381e1c8 影響を受けて息子も野球が大好きになって欲しい そういう夢があったんだろうなぁ… 支配欲の強いお父さんだとしたら、息が詰まるのは 想像に難くない。  「お母さんは庇ってくれたりしなかったの?」
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