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リアムは首を横に振って苦笑い。
「母さんも父さん同様
ゲームやパソコンに入れ込んでる奴は
"GEEK"でロクなもんじゃない
そう思い込んで決めつけてた。」
ため息をついて、リアムがさらに続けた。
「2歳上の姉も弟がGEEKだなんてカッコ悪くて
恥ずかしいからって
姉の友だちの前や学校ではGEEKな言動、素振りを
禁止された…。
そのクセ、学校や自分の友人宅でパーティなんかあると
俺を狩りだしたがる。」
「え、どうしてそんな事……」
チェイスがニヤニヤしながら
「イケメンの弟がいる、それは姉さんにとって
ステイタスだったんだろうよ。
仲良し姉弟ぶって
リアムを連れてパーティに行ったら注目される。
リアムは頭の回転も速いし器用で博識。
こいつは動けるヲタクだから、ダンスもこなす。
姉さんの女友達にもウケが良いに決まってるさ。
姉さんの株もあがる… ま、
”QUEEN BEE"にはなれなくても
”SIDEKICKS"のポジションは
取れたんだろ。
イケメンの弟くんリアムのおかげで」
「さすがだなチェイス、ご名答。
とにかく、家族の見栄の為に利用されて
本当の俺はGEEK扱いで認められない。
さっさと出て行く計画を立てた俺は
高校をスキップで卒業する事にした。
家族の前では俳優になりきって
彼らの求める息子、弟を演じ
うまくやり過ごす事にした。
高校でコンピューターのクラスを担当していた
40代の男の先生が俺のプログラミング能力を
高く評価してくれたな。
ゲームやIT関係の話も意気投合して
君は埋もれちゃいけない、然るべき場所で
活躍しなさいって密かに応援してくれた。
家族に認められなくても、たった一人…
どこかでたった一人だけでも味方になって
応援してくれる人がいると、本当に救われるもんだって
17の時に思った。
俺は自分の家族と会って共に時間を過ごしたいなんて
微塵も思わない。例え血の繋がった家族でも
一緒にいるともやもやして、心の安穏が得られないなら
離れる。そういう選択を俺は逃げだとは思ってない。
自分の居場所、関わる人間は自分で決めるべきだ。
結果、俺は今、幸せに自分らしく生きてる」
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