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強烈な車の加速に背中がシートに張り付いた。
チェイスはトレーラーの前に出るつもりなんだ?!
あっと言う間にトレーラーと並んだその瞬間……
トレーラーの車体の上にすごい勢いで急降下した
眩しい光と不気味な靄の塊が激突して共に弾け飛んだ。
トレーラーの車体が大きく振られ
こっちに迫ってくる!
恐怖で身をよじってギュッと目を閉じた。
何秒くらいその状態だったんだろう私…
何の衝撃もない。
え? 激突されて……な…い?
恐る恐る目を開けた。
私たち生きてる!
サイドミラーを見ると後方のトレーラーは
車体を立て直し何事もなかったかのように走行していた。
「アンジー……来るのが遅ぇよ」
そう言いながらチェイスはハンドルを右に切って
側道に入った。
あの光はアンジーだったんだ?!
助けに来てくれた。
とにかく私たちは無事だった。
ホッとしたけどまだ小刻みに震えている。
フロントミラー越しに私を見たチェイス。
「ケガはないか?」
「大丈夫。踏ん張れって言われてすぐに反応出来なくて…
身体が振られて顔がウィンドウガラスに張り付いたくらいかな」
「怖い思いさせたな、悪かった。
この先のダウンタウンでドラッグストアに寄っていいか?
俺とリアムの止血をさせてくれ」
止血?
夜で車内も暗い。
メガネを取り出してかけてみた。
私の上着にベットリ血がついてる…
そう言えば…
二人は腕や足がどうとかって話していた。
ザックリやったとか何とか。
横にいるリアムの足を見ると
太ももにかなり血が滲んでる……
リアムは力のない笑みで苦笑い。
チェイスは?!
身を乗り出して運転しているチェイスの右腕を見た。
なんともない。じゃあ、左だ!
左側からチェイスを覗き込んだ私は
血で染まった…いや血がしたたる
チェイスの腕を見た瞬間、血の気が引いてクラッと……
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