High Way To Hell

7/25
前へ
/200ページ
次へ
 「思い出した!」 そう言いながら運転席と助手席の間にある 収納Boxに左手を伸ばそうとして  「OW (あぅぅっ)!」 声をあげて悶絶したチェイス。 激痛が走ったんだと思う… 出血が止まらず包帯に血が滲んでる。 怖くて、でも何とかしたくて 両手でチェイスの腕を包み込んで、グッと圧をかけ 傷口を抑えた。  「おっ、ありがとなホリー」  「おい、チェイス。 ちょうど赤信号だ、取ってやるから言え。 BOXの中の何だ?」  「リアム、あれだ…ほらっ、あれ!」  「年寄りかお前は… 指示代名詞で言われてもわかるか!」  「モリオンだよ! お前も同じのをグレースに渡されたろ? 2週間ほど前だったよな?」  「これか!」 収納BOXに手を入れたリアムが取り出したのは 深紅のビロード。 手の平に収まるサイズの何かをくるんでいる。 チェイスがモリオンって言った。 モリオンって黒水晶だよね。  「チェイス…受け取った後 ここにボンッと投げ入れて ボトルガム同様の扱いをしたんだろう グレースが知ったら怒り狂うぞ」  「車にそれがあったからあいつ(アメリカンビューティ)の侵入を阻んだ。 結果オーライだ。 ボトルガム扱いしたことはグレースには言うなよ」 グレースって2人が家で 仕事の話をしている時に 時折、耳にした聞き覚えのある名前だけど どういう女性なんだろう?  「グレースって… 誰?」  「うちの社員で総務のポジションにいる黒人女性だ。 頼れる優秀な女性(ひと)だよ」  「総務の女性がどうして2人にモリオンを?」 チェイスとリアムが顔を見合わせた。  「ホリーに話すつもりはなかったが… 異常な事態が起きてる、チェイスどうする?」  「言っちまおう。 今後、グレースの助けを借りる事になるかもな。 彼女の正体を知ってる方がいいだろう。 ホリー、グレースは……」 緊張しながら次の言葉を待った。 2人の声がハモった  「だ」
/200ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加